東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)

現地会議

第9回 現地会議 in 福島

生活再建に踏み出した人から仮設で孤立している人まで、共通する課題の一つである「復興公営住宅のコミュニティづくり」をテーマに、福島県の地域の復興の課題を確認し、NPO・社協・行政・企業・自治会にとっての具体的な解決手段と連携分担を考える機会とします。
登壇者の主な発言 資料等 開催概要

登壇者の主な発言

【テーマ1】「課題を知る」-復興住宅のコミュニティづくりの課題とは?-

中鉢 博之 氏<山崎 氏から変更>(一般社団法人 ふくしま連携復興センター)

支援団体のネットワーキングをしている。連携復興センターとしての直接の事業もしている。復興支援員もその一つ。復興支援員は多数いるが、地域ごとの支援員を地域間でつないだりとか、バックアップや情報集約をする専門員などもしている。やはり福島の復興は長期に渡るので、「福島ビジョン2020」ということで中期でどんなことが必要なのかを会員団体から課題抽出してまとめている。あとアドボカシーや協働の推進をしていくことや、方法を提言することを考えている。復興の担い手の確保が大事なのでETIC.と連携して右腕事業や、復興支援専門員の研修などおこなっている。

鴛海 潔 氏<須賀 氏から変更>(福島県避難地域復興局生活拠点課)

県内に4890戸の復興公営住宅の予定をしている。郡山市の公営住宅は一部完成して入居が始まっているが、主力は来年に入居が開始。単にハードを整備すればいいということではなくソフト面の整備をしなくてはいけない。県では研究会を設置して課題の整理をし、コミュニティづくりは、行政主体というよりは民間セクタのかた住民が一緒に考える仕組みにしなくてはいけない。つながりをつくるためには民間のかたにやっていただいたほうがいいと考え、そのひとつがコミュニティ交流員の事業となった。復興公営住宅にコミュニティ交流員を巡回、復興公営住宅入居者同士や、立地地域との交流を促進する役割。復興公営住宅を核として借り上げ住宅や自主再建のかたも含めてのコミュニティづくりのお手伝いをしていく。行政として課題として認識しているのは4890戸の主な住民の内訳。ひとつは地域が分散しているということ。1つの町、2つの町、4つの町でそれぞれ構成する公営住宅がある。それぞれの町民の特性を認識したサポートが必要。あと高齢化率が高いこと。60%ほどになる見込み。それなりに福祉支援を考えなくてはいけないが、コミュニティ交流員は役割限定なので福祉支援をするにあたっては生活支援相談員や復興支援員、社会福祉協議会との連携が必要だと思っている。

斉藤 知道 氏(社会福祉法人 福島県社会福祉協議会・地域福祉課)

生活支援相談員は29市町村に201名を配置している。心配事相談や困り事相談など受けている。地域や行政によって役割分担をしている。例えば応急仮設は行政が、みなし仮設は社協が、あるいは一緒にまわったりしているところもある。行政情報の提供や、住民の交流、福祉サービスへつなぐことなどしている。交流イベントなどや集会室での交流会、重篤なケースに対応するための専門家による出張相談などもしている。訪問数は昨年年間で72,798世帯。相談内容は日常生活、健康医療、介護、家族、制度、金銭問題(は最近増えている)、就労など。ニーズや課題は仮設住宅など近隣同士の交流、仲間の存在(いてありがたい/いると困る)。行政から今後の方向性が示されない・あやふや。アルコールやギャンブル等への依存。子どもの学校でのいじめ。仮設住宅から地域のスーパーへの移動手段がないという高齢者が多くなっていることも課題。生活支援相談員の現状だが、サロン活動の参加者が減少している。登録住所に訪問してもいないことや、訪問を拒否されることも。相談の内容は近年深刻なものが多くなっている。たとえば一人暮らし高齢者のトラブル、親族同士の意見の食い違いによるトラブルなどがある。今後の課題だが公営住宅への転居などにともなって仮設住民現象による自治会の継続性をどうするか。あらたな地域住民とのコミュニティづくり、仮設に残る人に対しても近隣住民の協力がないと難しい。復興公営住宅のへの転居後の見守り活動も必要だと感じる。

【テーマ2】「解決策を考える」-いわき市を事例にアクションを考える-

山中 桂子 氏(社会福祉法人 いわき市社会福祉協議会 生活支援課 生活支援相談員)

いわき市の災害公営住宅についてお話したい。市内には建設中含め16の復興公営住宅がある1513戸、うち7箇所か入居を開始した。例えば最南端の勿来地の錦団地で4月に入居がはじまりましたが、子育て世帯や高齢者など入居。独居高齢者などもいる。これまでも騒音・ゴミ・無断駐車など住民間トラブルがあった。自治会立ち上げも難航した。今年3月に行政から部屋番号で仮役員が指名され、住民同士の話し合いで正式な役員を選出する予定だったが、仮役員や住民に動きが見られなかったので元の自治会長が会長を引き受けた。なんとか行政区加入にむかっている。支援をするとき、最初住民から聞かれたのは、「どの人が住んでいるかわからい」だった。住民同士、地域住民との交流、心身リフレッシュとして、地区の公民館で、生花、紙芝居などのお茶飲み会をおこなったが団地住民は参加が少なかった。反省を踏まえ秋にミニコンサートを行った。地域住民や集団移転などのかたに集まっていただいた。課題と今後の対応。地域住民が団地住民にいい感情をもっていないことが心配される。

渡部 千惠子 氏(大熊町ふるさと応援隊)

これまで保育士をしてきた。震災後1年は会津若松でバスの添乗員などしてきた。幼稚園・児童館の職員が集まってお手伝いをし合った経緯がある。現在は定年退職して田村市で地域のお手伝いや畑仕事をしている。自分たちになにかできることはないかということで、NPOを立ち上げた。事務局の数名以外はじじいぶたいよりみんな年上という状況で若い人手がほしいです。大熊町民は震災当初11,500余で現在は10,803になっている。会津に2,100ほど、浜通りに4524人、中通りに1586人になっている。第一次復興計画が示された住民の意向調査の(昨年10月)集計では5043世帯に配布して回収率が54.8%でした。「町への帰還を望むか?」という質問に、判断がつかない:19.8%、戻らない:67.1% 戻りたい:8.6% これが最近除染が進み戻りたいという人が増えています。「復興住宅への入居希望ですか?」という質問には、判断できない:33% 希望しない:48% 希望する:17.5%だった。私自身は仮設に住んでいる人との交流は親族に限られるが、周辺ではいわき市などで土地を買ったり、中古物件をもとめたりしている。年寄りがいる世帯が多く、早く落ち着きたい、葬式は家から出したい、こどもが帰れる家を早く確保したい、ということのようだ。今後の活動としては事故があったらこういうことがおこると伝えるためにスタディツアーを続けたい。

本田 紀生 氏(大熊町ふるさと応援隊)

居住制限区域の大河原地区という場所があります。そこの除染を進んでだいぶ線量が下がりました。約0.2から0.15の場所です。先月のアンケート調査で帰りたいという人が5%ほど増えた。そういう地区に拠点をつくろうということで、地区の中に原発の冷却水と農業用水をためているダムだあるが、そこの現地事務所に「じじい部隊」という精鋭たちがいます。この方々は大熊町の第一次復興計画をつくった人たちです。大熊町にもどるために除染・調査などしています。大熊町の行政とNPOが密着して復興計画を前進させるのが目標です。町民主体のNPOと行政が連携して前進させる。具体的な活動は街づくり活動やスタディツアーなど5つの活動をしている。避難者支援ということで仮設にも訪問している。スタディツアーをしながら世界中に大熊町を発信することを目標にしています。

藤田 大 氏(ふたば商工株式会社)

ふたば商工株式会社の話をしつつ、私は富岡町の人間なので富岡の話をしたい。平成25年3月25日に富岡は区域再編され3つに区分された。最初東京の兄弟の家に身を寄せていたが、子どもが3人いて悩んだが、なんとか自分の足で再建したいと思い富岡に戻った。雨漏りなどして不安だったが弁当の工場などを持っていたのでそれを生かしたかった。時を同じくして「いわき未来会議」をきっかけに「旧警戒区域に行ってみっぺ」を最初ボランティアでするようになった。活動が広がりボランティアでは対応できなくなり法人化を考えるようになった。富岡町商工会がまちづくり会社をつくる構想があり、合流することになった。事業としては被災地研修事業。風化や軋轢をなんとかしたいという思いでやっている。軋轢はお互いを知らないことから起こるのでやっている。いわきの皆さんには大感謝です。なかなか不理解のままだと、だんだん殻に閉じこもっていってしまう。まずは理解するところからはじめている。スタディツアーなども参加いただいて現状を知っていただくのが重要だと思う。参加者は206名になる。もう一つは物販。「富岡は負けん!」のグッズなど。あと相双ボランティア。警戒区域でもなんでもいきますという考え方なのですが、家の片付けから木の伐採からなんでもしようという団体です。双葉郡のかたでも寝っ転がっている人と立ち上がりたがっているひとと二通りいる。立ち上がりたい人には活動の機会があるといいと思う。

資料等

開催概要

タイトル 復興公営住宅のコミュニティ構築の課題とは
日時 2014年11月17日(月)13:30~17:30
会場 いわき産業創造館 企画展示ホールA
(いわき市平字田町120 LATOV 6階)
プログラム
【開会挨拶】
李 仁鉄 氏(災害ボランティア活動支援プロジェクト会議)
【趣旨説明】
鈴木 亮(JCN 地域駐在員福島)
【テーマ1】「課題を知る」-復興住宅のコミュニティづくりの課題とは?-
[報告者]
中鉢 博之 氏(一般社団法人ふくしま連携復興センター)
鴛海 潔 氏(福島県 復興局生活拠点課)
斉藤 知道 氏(社会福祉法人福島県社会福祉協議会 地域福祉課)
【テーマ2】「解決策を考える」-いわき市を事例にアクションを考える-
[パネリスト]
山中 桂子 氏(社会福祉法人いわき市社会福祉協議会 生活支援相談員)
渡部 千惠子 氏(NPO法人大熊町ふるさと応援隊)
藤田 大 氏(ふたば商工株式会社)
猪瀬 絢子 氏(NPO法人 シャプラニール=市民による海外協力の会)
[コーディネーター]
鈴木 亮(JCN地域駐在員福島)
【テーマ3】「ワークショップ 」-参加者全員で今後のアクションを描く-
[グループテーマ]
1.県域の支援ありかた
2.いわきでの支援のありかた
3.省庁への提言を考える
【閉会挨拶】
藤田 大 氏(ふたば商工株式会社)
主催 東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)
共催 一般社団法人ふくしま連携復興センター
3.11被災者を支援するいわき連絡協議会
NPO法人うつくしまNPOネットワーク
災害ボランティア活動支援プロジェクト会議
協力 NPO法人 日本ファシリテーション協会
NPO法人 メディアージ
社会福祉法人 福島県社会福祉協議会
参加者数 89名