東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)

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【レポート】防災集団移転と浸水域の活用~地域づくりへ~

訪問先:NPO法人いわて地域づくり支援センター
訪問日:2014年7月26日
取材者:中野圭

こんにちは、岩手の中野です!
今回は岩手県大船渡市崎浜(さきはま)地区で活動するいわて地域づくり支援センターの若菜さんにお話をお聞きしました。

―― Q.取り組んでいる地域課題は?

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崎浜地区は被災した約200世帯くらいの集落で、被災した人たちの住宅再建支援含め集団移転事業の支援をおこなっている。およそ22世帯が移転、公営住宅7世帯ほど。海に突き出た半島部に位置するすり鉢状の集落で地形的にもまとまっており、仮設団地は地区内に設置され、集団移転団地に移る人ももともとの地域の人たちだけであるため、この地域ではコミュニティの課題はないといっていい。そういう意味ではひとつの理想的な事例として提案できるかもしれない。

また、集団移転事業とは別の取り組みとして、浸水した土地利用の構想を描く支援もおこなっているが、将来の土地利用や集落のあり方を描くにあたって、地域の復興会議には若者の参加が少なく、本当の意味で将来的な姿をなかなか描きづらいという問題に直面している。また、これから描いた絵を実現させるに当たっては、地権者との交渉や、関係者の調整などこれからも多くの問題や課題が発生する見込みである。

―― Q.どのような取り組みをされているのですか?

集団移転事業は、国の支援を受けて行政が造成等をおこなうが、移転先団地をどこに設置するか、道路・宅地の配置をどうするかなどは行政と住民が一緒にやらなければならない。崎浜の場合は被災者連絡協議会として被災者の組織化ができていた。私たちの団体としては協議会内部の意見集約のお手伝いができたと思う。丁寧に意見を吸い上げるところから始められたので、住民が最初から計画に入れたという意識ができたと思う。団体としては当初単に住宅再建支援として、復興住宅の視察や情報提供、個別相談をおこなっていた。個々に寄り添う支援と集団移転団地の協働の取り組みをサポートするという主に2つのことをおこなっている。

また何か困りごとがあっても周囲に相談しないという地域性がある。そこで外部が入って丁寧に困りごとを聞くことが必要とされていると感じている。

―― Q.困っていることはありますか?

やはり造成工事が進まない。沿岸部では資材不足、人手不足が深刻。さらに実際に移転地が造成された後も家を建てられるかは個人の問題になる。それぞれの人が実際にたてられるかどうかは一人ひとりにきいてみないとわからない。今後住民向けにアンケートを実施する予定。施工業者がみつかったかなどを丁寧に聞き取り個別の困りごとに対応したいと思う。

一方で若者と年寄りの分断もあると感じる。働き方が昔と今では違う。昔はみんな漁業という時代だったが今は違う。市街地への勤め人が多い。そうした多様な人たちが理解しあいともに地域づくりを考えられる場を考えていかなければならない。

―― Q.復興を応援してくれる人達にお願いしたいこと、伝えたいことはありますか?

これから復興をどうしていくかというのは、そもそもこれからこの地域をどうしていくかという全国の農山漁村、一次産業の問題に取り組もうとしているのと同じであると感じる。「震災の問題」として取り組むことには限界があるので、この地域をどうするかという覚悟をもって住民とともに取り組まなければならない。全国の人たちには、日本の農山漁村との関わりあい方、一次産業との関わりあい方を見直すところから意識して、その価値を考えてみてほしい。

<了>


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2014年7月26日 14:12