もしボラ - もしあなたがボランティなに行くなら!

第一回 2011.11.13 加藤拓馬さん

語り手・プロフィール

名前 加藤拓馬  出身地 兵庫県  趣味 ワークキャンプ  ブログ http://blog.canpan.info/entoki/

聞き手・プロフィール

名前 西川礼華  所属団体 SweetSmile  団体HP http://mc-sweetsmile.org/index.php

 

 

インタビュー後記

 「ボランティアの今」第一回目は宮城県気仙沼市の唐桑町で活動をする加藤拓馬さんにお話を伺いました!加藤さんは4月から、今も現地で活動を行っている若者の一人で、とてもユニークで情熱的な方でした。

そんな彼が現地で求められていることが変化していることについて述べてくれました!

これまで以上に丁寧に活動に参加して欲しいという長期に活動する者ならではの引き締まった言葉と、現地の方々との交流を通して美味しいものをたくさん食べさせていただいて舌が肥えたと喜んで話していたところがとても印象的でした。

最後の学生に向けたメッセージは、活動に参加するかどうかを迷っている人を後押ししてくれる言葉だと思います!

加藤拓馬さん、貴重な時間をいただいてのインタビューにご協力ありがとうございました。

 


 

 

 


書き起こし

以下、西:西川さん、加:加藤さん

 

西:どのような団体で活動しているのですか?

加:FIWC唐桑キャンプという団体の現地取材として気仙沼市唐桑にずっと滞在しています。

 

西:そのようなボランティアに参加しようと思った経緯を教えてください。

加:大学時代、中国でハンセン病の隔離施設のインフラ整備をするワークキャンプをやっていて、中国で得た経験を活かせないか、ということで東北に行こうと思いました。

 

 

西:東北に行こうと思ってから具体的にどう動きましたか?

加:最初はいちメンバーとして、四月・五月は毎日ヘルメットをかぶってつなぎを着てガレキ撤去をしていたんです。

五月以降滞在するのが私ということになり、他のボランティア団体と連携を取り合って「唐桑ボランティア団」というボランティア団体同士の活動の調整だとか、それぞれの団体の強みを生かしていこう、ということでネットワークを作ったのが五月です。

 

西:四月に現地に入られて二か月間で組織作りをしていったわけですか?

加:そんなに大したものじゃないですが(笑)週一回集まって代表の定例会をやり始めてから、どちらかというとボランティアを受け入れて現場のニーズを紹介する、中間の紹介業みたいなことを夏までやりました。

 

西:夏以降はどういった活動を?

加:もちろん唐桑ボランティア団の事務局として今も継続していますし、FIWCとしては…個人の興味なんですけど、町づくり、町おこしといった「唐桑町をどういうふうにしていくか?」というのに興味が出てきて、例えば高台店だとかコミュニティーをどう再構築していくかというところで、今、フリーペーパー…コミュニティー雑誌みたいなものを作ろうとしています。

 

西:今現在は他にやっていることは?

加:ボランティア紹介のほうですが、ガレキ撤去だけでなく今は漁業のお手伝いだとか、個人の些細なニーズに学生を入れて作業してもらう感じですね。

 

西:唐桑は漁業の町なんですね。…学生ボランティアの数はどう変化していきましたか?

加:ゴールデンウィークに一つ大きな山があって、その後8月・9月が学生は休みなので、そこがピークでしたね。そこからはもうずっと右肩下がりで。                                                                                                                                     

 

西:一番多い時で何人くらいいらっしゃいました?

加:うちはゴールデンウィークとか夏とかは50人ぐらいが一緒に寝泊まりしていた時もありました。

 

西:それが今現在だと?

加:今はどの団体も人があまりいないです。自分も今は2人か3人でやっている状態で、あとは短期ボランティア…たとえばGAKUVOだとか、日本財団学生ボランティアセンターだとかが、1週間に1回・2回くらい20人から30人くらいで隊を組んで来てくれるというかたちですね。

 

西:加藤さんが考える今現在の現地の状況は?

加:ガレキが少なくなり、ハード面では復旧が進んでいるのは事実なんです。まだ残っていますけども。ただ、これから〝復旧〟じゃなく〝復興〟に向かっていく上で、人の気持ちの面がメインになっていくのかなって思います。

 

西:メンタルのケアということですかね?

加:そこが僕から見て決して良くはなってないのかなって。むしろ人間関係とか、地元の人同士でどんどんこじれていっている部分というのも多々あって、決して順調に復興が進んでいるというイメージではないですね。

 

西:現地の方というのも、在宅の方や仮設住宅に入っている方、様々いらっしゃいますが、具体的にどういう違い、あるいは支援する上でどういった心がけが必要だと思いますか?

加:在宅の方と仮設に入っている方…前だったら避難所にいる方…その意識のギャップというのが今、どんどん大きくなっている気がして、そこを意識しながら活動したいと思っているんです。

仮設住宅が建っている所にはもともと町があって、その中に仮設住宅がポンと出来る、と。すごく浮いてるんですよね。あの四角形の空間が。

外の地域から入ってきた人たちなので浮くのは仕方ないですが、少なくとも2年間仮設にいるわけですし…仮設住宅にいる方と周りの在宅の方をどういうふうにミックスして、またそこに新しい一つの町として、村としてコミュニティーを作っていくか?というのが一番の課題なのかなあ、と。

 

西:学生の中には今までボランティアをしたことがない、という人もいると思います。そういう方が今から支援に行きたいと思った時にどう参加するのが良いと思いますか?

加:4月から9月くらいまでは「何でもいいからとりあえず来てください」「ガレキを早く少なくしたい」「人手が欲しい」でした。

実はガレキ撤去というのもメンタルに大きくかかわっている所で。地元の人も「いつまでも自分の住んでいる所にガレキがあると、どうしても一歩踏み出せないところがある」

「この3月11日からずっと止まってそこにあるガレキを取り払って初めて自分たちは踏み出せるんだ」ということを言っていた人もいて、何とか早くガレキをきれいにしましょうと言っていたこともあるんです。

その為に学生に「来てくれ」って言ってたんですけども、今は、ガレキもまだありますが、そうじゃない部分の方が大きくなってきてて・・・。

 

西:人それぞれニーズが違いますもんね。

加:そうなんです。なので、今から「ボランティアをしたい」という人は今まで以上に丁寧に活動を始めてほしいと思います。

…というのも、一人一人のニーズが多様化し、それを把握するのも難しいと思うんですよね。

なので、まず学生グループを組んで「こういう目的でやろう」「こういう支援をやっていこう」という目的を共有して、僕のように現地にいる人と相談しながらその活動が本当に現地の人・ニーズに合っているのかを確認して、それから来てもらう、継続させてもらう…というような一つ一つのプロセスを一緒に丁寧にやっていきたいなあ、って思うんです。

 

西:私の周りでも何かしたいという人が沢山いますが「私が行って何ができるの?」「今更行っても―?」「休みに行っただけで何が―?」と思って結局行かない人もいて・・・加藤さんの目から見てそういった短期で行くという人にアドバイスや「こういうのが向こうで求められているよ」というのはありますか?

加:短期で入りたい方に自分がお奨めしているのは、例えばGAKUVOのようなちゃんとプロジェクトを組んでいる所で入って頂くと、ある程度人数も集まりますし、20人30人単位だとこちらも紹介できる作業はあるんです。

でも自分は何回もそうやって来てくれる人に「そろそろ個人的に来たら?」ともよく言います(笑)

入口としてはそれがいいと思うんですが、唐桑に愛着が湧いてきて、唐桑に好きな地元の人ができた時に、さっき言った一人一人のニーズだとか声を拾えるような段階に入るのかな。そうしたら自分たちで「この人のためにこういうことができるんじゃないか?」と、仲間を集めてまた唐桑に来てもらう、というのは面白い企画かな、と思います。

 

西:半年以上唐桑で活動されて「ボランティアに行って良かった」というエピソードはありますか?

加:地元の人には「ボランティアで来てくれて本当にありがたい」という言葉は沢山頂くんです。それは勿論自分にとって嬉しいですけども、難しいのは…ボランティアって地元の人にとってありがたいのは当り前なんですよ。

ボランティアが迷惑をかけてしまったとか「こういう支援をしたい」と言った時に地元のひとが「NO」と言いづらいことがあったりするんですよね。

そういう所をもっともっと敏感に捉えていかないといけないなって。地元の人たち無理してないかな?って思うのはよくあるんです。

なので実は「ボランティア本当にありがたい」ってのにも二種類あるのかなって思ってて。

その中で自分が一番言われて嬉しかったのは「震災はマイナスだけじゃなかったんだ。外から来てくれたお前らと会えたことは自分にとってプラスだった。震災がなければこのプラスはなかったんだ」というようなこと。この上ない褒め言葉ですよね、自分にとっては。その時は「ああ、やってて良かったな」って心から思いますし、「ありがたい」って言葉に甘えずに、そういう言葉を色んな人から聞き出していければいいな、と思います。

 

 

西:「愛着」という言葉を使っていましたが、唐桑町の魅力は何でしょうか?

加:口が肥えましたね(笑)

西:美味しいお魚が?

加:ホンットにもう東京で寿司は食えなくなってしまう(笑)

西:今の時期だと何が?

加:メカジキですね!!メカジキが大好きになりました。

西:それを食べることによって現地の人とのコミュニケーションにもなりますね。

加:相当食わせてもらってます(笑)夕方くらいに「お前そろそろ飯じゃないか?」「そうっすね。そういえばお腹空いてました!」みたいな(笑)

 

西:先ほどメンタル的なことでもケアが必要なことを話されていましたが、ご飯を食べたりお話するだけでも何かしら支えになっているのかな、と思います。

加:それはありますね。ただ「ケアしてる」って思うと話せなくなるので、そういう意味ではケアという言葉はあまり…。「お話を聞く」だとか「愚痴を聞く」とか。

よそ者なので地元の愚痴だとか言いやすいんですよ。

ガレキ撤去や漁業のお手伝いだけが活動じゃないと思うんです。本当に家でお話しするとかお茶を飲むとかだけでもすごく意味があることなのかなって。

 

西:今とこれからの現地のニーズはどのように変わっていくと思いますか?

加:最終的に残るのは「ボランティアと被災者」っていうカテゴリー同士の付き合いだけじゃなく、ホントに長く続く付き合いってのはやっぱり「私と誰々さん」っていう個人的な繋がりだと思うんです。そういうのを意識してやれる活動がいいのかなって。

ただ、絶対気を付けないといけないのが、あるボランティアがその人に入れ込むことによって地元の周りの目が悪くなるパターンですよね。「あいつはボランティアと仲良くして自分の養殖業を手伝ってもらってる」「あいつはボランティア使って金集めてもらっているらしい」とかは有り得る話なので。

そういう意味では唐桑町っていう町全体も視野に入れつつやらないといけないのかなって。まあ、バランスですよね。

すごく難しいけど、そういう個人の付き合いが僕たちボランティアとしても無理のない長い付き合いになっていくのかなって思います。

 

 

西:加藤さんは実は就職も決まっていたのに、今回ボランティアに行かれていると伺いました。とても勇気のいることだと思いますが、ご自身で不安はありませんでしたか?

加:ありましたね。会社には今も籍を置いていまして、休職扱いというかたちで送り出してくれたんですね。社長もそうですし、親にももちろん初めは反対されましたし。でも、最終的に会社も家族も認めてくれたって事が自分の中でも踏ん切りが付いたっていうか…もうあとはビビッても仕方ないな、言うこと言っちゃったな、偉そうにタンカ切っちゃったなっていう(笑)じゃあやれるとこまでやるしかないなっていう。不安だらけですよ。

 

西:加藤さんが参加した活動に持って行ったものはありますか?

加:当時はもう安全第一。安全対策の作業着だとか、作業手袋、安全靴だとかってのは絶対に必要なもの。

「何か困ったことないですか?」「こういうことをやってください」「わかりました!じゃあやります!」って言ってボランティアが怪我したら一番迷惑なんですね。「ああ、頼まなきゃ良かった。」って地元の人、思うじゃないですか。そしたらきっとその人はもう二度とボランティアに頼ることは出来ないと思うんですね。

だから自分たちがどうのじゃなくて依頼した人にとっても絶対怪我はしちゃいけないと思うんです。そういう意味で、ちゃんとした安全確認をしっかりやってほしいです。

 

西:これからボランティアに行かれる方に「こういうの持って行ったらいいよ」という物があれば教えてください。

加:何でしょうね?ダウンジャケットかな(笑)これからメチャクチャ寒くなりそうですよね。すでにそれがヒシヒシと。ホントに風邪ひく!

活動に必要な物っていうのは特にないのかな?もし何か特技があればね。例えば音楽ができるだとか。そういうものを現地に持ち込んで「じゃあこういうイベントやってみましょう」というのでイベントを打つのはいいのかなって。

よくあるじゃないですか?震災復興のイベントとかチャリティーコンサートとか。そういうのがあれば人が集まりますし、芸能人が来たってだけでも凄い大騒ぎなんです。

唐桑って意外に来ないんですよ。気仙沼からそのまま45号線で陸前高田に行けるんで。その二大被災地にちょこっと付いてる唐桑半島なので。

 

・・・そういうイベントとか、これからもどんどんやっていってほしいなって思うんですけども、その時に、どうしても仮設住宅に行ってイベント打つのが目立つとは思うんです。

でも自分たちが今しないといけないのは、やっぱり仮設住宅と周りの在宅の人たちとのコミュニティーをもう一度作っていくところだと思うので、そういう所を意識してやっていってほしいな、と。

「イベントやるので送迎バス出します!」って言っても、バスが仮設しか回らないんですね。そしたら在宅の人からすると「なんだ、やっぱり仮設の人用のイベントか。」みたいになっちゃうんです。そういうの聞いて悲しいし、「そうじゃないんですよ!みんな参加していいんですよ!」って伝えたいし、そういうイベントをやってほしいな。

 

西:最後に「これからボランティアにいこう!」と決意を持っている人にメッセージをお願いします。

加:今から求められるのはスキルの高いもの、プロフェッショナルなものになってくるかもしれないです。

実は今、現地が必要としてるのって頭のいい人じゃなかったりすると僕は直感的に思ってるんです。

頭のいい人に限って頭でっかちな活動をしやすいもので、自分はそれより「俺は誰より凡人だ!」思ってるような学生とかが、実は凄く地元の人に溶け込んで、酒を交わして話して、仲良くなったりできるのかな、って思ってます。

だから、「何したらいいかわかんないけど俺は絶対何かする!」っていう凄い熱い凡人…そういう仲間がどんどん集まって「熱いなりに知恵を出し合って何か一発やってやろうぜ!」っていうのを、東京で話すんじゃなく唐桑で、地元の人を巻き込んで話し合いできれば、そこから凄く面白い活動に発展していくんじゃないかなって思います。

「何ができるかわかんないけど、熱いぞ!!」っていう方がいたら待っています!!