東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)

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【レポート】「参加包括型・相互多重型」のコミュニティ形成

訪問先:公益財団法人共生地域創造財団
訪問日:2014年6月5日
取材者:中野圭

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―― Q.取り組んでいる地域課題は?

大船渡市では、仮設住宅支援、みなし仮設住宅支援などがある中で、震災以降「在宅被災者世帯」(仮設住宅等に入居するのではなく自宅を修理修繕するなどして生活をする世帯)に対する支援というのは少なかった。また、現在では震災が直接的な原因ではなく、震災前から存在していた生活困窮という課題が、震災を契機に顕在化しているケースが多い。経済的な貧困と関係性の貧困ともに、今後震災からある程度の時間が経ったからこそ、被災地で増えてくるかもしれない。

―― Q.どのような取り組みをされているのですか?

生活困窮者に対しては「参加包摂型」、「相互多重型」の支援を心がけている。これは、一人ひとりに寄り添い伴走するかたちの支援で、なにが課題となっているのかを見つめ直し、本当に必要となる支援を考えていく。食糧支援、生活福祉基金のつなぎ、就労支援、農園を活用したコミュニティの再生など、さまざまな手法をとるが、いずれにしろ明確な答えがあるわけではない。一つひとつの命に寄り添う「いのちの支援」である。

―― Q.どの様なメンバーで取り組まれているのでしょうか?

復興支援員制度を活用し大船渡では7名のスタッフで運営している。一人ひとりが伴走型支援員として、地元に寄り添う支援を行っている。

―― Q.困っていることはありますか?

事業運営をもっと体系的にし、効率化を図りたい。少ないスタッフでやっているので効率化できる部分は積極的に改善していきたい。支援対象世帯の課題も多岐にわたり、多様性の承認という難しい課題もあるが、支援技術のスキルアップと同時に意識を高めていくことが求められている。今後この地域から大船渡モデルというものを発信していきたい。また、寄り添い型の支援の中で成果という意味では見えづらい。しっかり成果を見える化していくことも求められている。

―― Q.復興を応援してくれる人達にお願いしたいこと、伝えたいことはありますか?

月並みな表現ではない。震災を機に「いのちの課題」が見えてきた。大船渡では、社会資源が都市部に比べ少ない。これから少しずつ社会資源を回復し充実化させていく必要がある。その点でこれからも応援がほしい。

徐々に「震災」というところから抜けつつあり、従来からの課題にシフトしている。被災者支援というよりはお互いに助け合う仕組みが必要。一方的ではなく交流することで勇気付け勇気づけられる状況が必要。離れていても、被災地とつながりを持ち続け、被災地の住民がつながっていると感じられるような応援が一層必要である。

<了>


【関連情報】
(URL)公益財団法人共生地域創造財団 http://from-east.org/
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2014年6月23日 11:33